子どものダニアレルギー・スギ花粉症、秋に見直したい舌下免疫療法とアレルギー検査

監修:日本小児科学会専門医 森川哲行

夏の終わりから秋にかけて、「鼻水やくしゃみが続く」「鼻づまりで眠りにくそう」といった症状が気になるお子さんはいませんか?おおたかの森こどもクリニックでは、こうしたアレルギーのご相談も承っています。この時期は、夏に増えたダニの死骸やフンなどが室内に増え、ダニアレルギーの症状が出やすくなることがあります。一方、毎年春にスギ花粉症でつらい思いをしているお子さんにとっては、次のシーズンに向けて治療を検討する時期でもあります。今回は、ダニ・スギ花粉の舌下免疫療法と、アレルギー検査についてご紹介します。

舌下免疫療法と、これまでの薬による治療の違い

くしゃみ止めや点鼻薬などの治療は、出てしまった症状を抑える「対症療法」です。一方、舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を含む薬を毎日少量ずつ舌の下に投与し、体を徐々に慣らしていくことで、アレルギー反応そのものを起こしにくくすることを目指す治療です。数か月の服用で効果がなければ終了するものではなく、年単位で効果や副作用を定期的に評価しながら続けていきます。効果の現れ方には個人差があり、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。

対象となる年齢と、治療を続けられることが前提です

スギ花粉症の薬「シダキュア」・ダニアレルギーの薬「ミティキュア」は、いずれも5歳未満のお子さんを対象とした臨床試験が実施されておらず、安全性・有効性が確立していないため、当院では原則として5歳以上の方を治療の対象としています。また、舌下免疫療法は年齢だけでなく、毎日服薬を続けられること、舌の下に薬を一定時間保持するなどの服用方法を守れることも大切な条件になります。お子さんの年齢や性格によっては治療の開始時期を調整する場合もありますので、まずはご相談ください。

診断から治療開始までの流れ

舌下免疫療法を始める前には、問診と検査をあわせて、原因となっているアレルゲンによるアレルギー性鼻炎であることを確認します。検査が陽性であっても、それだけで治療の対象になるわけではなく、症状の経過とあわせて医師が総合的に判断します。治療が適していると判断された場合は、初回の薬の服用は院内で行い、服用後しばらく体調に変化がないかを確認してから帰宅していただきます。2回目以降は自宅で毎日服用を続け、定期的に通院して経過を確認します。

スギ花粉症の治療は、花粉シーズン前のご相談がおすすめです

スギ花粉の舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散している時期には新たに開始することができません。花粉の飛散が始まる直前も避け、十分な余裕をもって開始することが大切です。関東では例年、年明け以降に飛散が始まることが多いため、今年中にスギ花粉症の舌下免疫療法を始めたい場合は、余裕をもって秋頃、遅くとも11月頃までのご相談をおすすめしています(あくまで当院での目安であり、実際に開始できる時期は地域の飛散状況やお子さんの状態によって異なります)。症状の経過と検査結果から、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎と診断された場合に、今年中の治療開始を目指せます。

秋はダニアレルギーの症状にも注意

ダニは高温多湿の環境で増えやすく、夏に増えたダニの死骸やフンが秋にアレルゲンとなって症状につながることがあります。鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどが続く場合は、ダニなどのアレルギーが関係している可能性もあります(咳が続く場合には、喘息など他の原因が隠れていることもあるため、あわせて評価が必要です)。症状だけで原因を判断するのは難しいため、診察のうえ、必要に応じてアレルギー検査をご提案しています。ダニの舌下免疫療法はスギ花粉の治療と異なり、季節を問わず開始できますが、その時々の症状や喘息の有無などを確認したうえで判断します。

ドロップスクリーンによるアレルギー検査

当院では、アレルギーの原因を調べる方法の一つとして、ドロップスクリーンによる血液検査を行っています。これは、血液中のアレルゲンに対する反応を調べるスクリーニング検査で、結果が陽性であっても必ずしもそれが症状の原因とは限らず、逆に陰性でも経過によっては追加の評価が必要になることがあります。なお、舌下免疫療法を始める前の検査はドロップスクリーンに限らず、症状やこれまでの経過に応じて適した方法をご提案します。

●ドロップスクリーンの主なメリット

・指先から少量の血液を採取して検査できる

一般的な採血と比べ、採血時の負担を抑えやすい方法です。

・複数のアレルゲンを一度に調べられる

スギやダニを含む吸入系19項目、卵や牛乳などの食物系22項目、あわせて41項目を一度に測定することができます。ただし、症状のない食物項目が陽性となることもあるため、検査結果だけで自己判断して食物除去を始めず、必ず医師にご相談ください。

・比較的短時間で結果を確認できる

検査機器や診療状況によりますが、結果が出るまでの時間が短いことも特徴です。

治療を始める前に知っておきたいこと

舌下免疫療法の主な副作用は、口の中のかゆみや腫れ、喉の違和感などで、特に開始初期に起こりやすいとされています。まれに、呼吸が苦しい、全身にじんましんが出る、強い腹痛や嘔吐、意識がぼんやりするといった重い症状が起こることもあり、その場合はただちに服用を中止し、医療機関にご連絡・受診してください。重症の気管支喘息があるお子さんなど、治療の適応について慎重な判断が必要な場合もあります。治療期間は一般に3年から5年とされ、長期的に取り組む治療ですので、開始前に医師からしっかり説明を受けておきましょう。

今年の秋から、次の花粉シーズンに備えませんか?

秋はダニアレルギーの症状に気づきやすく、スギ花粉症の治療を次の春に向けて検討する時期でもあります。毎年続く鼻水やくしゃみ、鼻づまりが気になる場合は、まず一度ご相談ください。おおたかの森こどもクリニックでは、診察やアレルギー検査の結果をもとに、お子さんに合った治療をご提案しています。

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