RSウイルスについて知っていますか?把握しておきたいRSウイルスの特徴

RSウイルスは呼吸器において風邪の症状を引き起こすウイルスの一つです。これまでは毎年秋ごろから初春にかけて流行していましたが、下のグラフのように流行のピークが2021年は7月、2023年は6月と最近では流行の時期が早まってきています。また感染力が非常に強いことも特徴です。乳幼児に多い感染症で生後1歳になるまでに半分以上、2歳になるまでにはほぼ100%の乳幼児がRSウイルスに感染します。繰り返し何度も感染していく内に少しずつ免疫を獲得していくこともあり、インフルエンザなどとは異なり登園・登校の基準は決められていませんが新型コロナウイルスなどと同じように5類感染症に指定されています。

(出典:国立感染症研究所 感染症疫学センター「感染症発生動向調査速報データ」)

(https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html)

「定点あたりの報告数」とは「すべての医療機関からの報告数」を「すべての医療機関の数」で割った値のことで、言いかえると「1医療機関当たりの平均報告数」のことです。

●RSウイルスの症状

RSウイルスに感染すると軽い風邪症状から重い肺炎や細気管支炎までなる可能性があります。特に新生児や乳幼児は重症化しやすいという特徴があります。例えば乳幼児の肺炎の半数はRSウイルスが原因となっています。そのため新生児や乳幼児に以下のような症状が出ている場合はすぐにお近くの小児科で診察を受けてください。

RSウイルスの主な症状は

・発熱

・鼻水・鼻づまり

・せき(重症化するとゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音を伴います)

これらの症状が2~3日続きます。

またRSウイルスは登園・登校の基準は決められていませんが、通われている保育園や幼稚園によっては登園許可書を必要としている場合があるので確認するようにしましょう。当院でも登園許可書の作成を行っておりますのでご相談ください。

●RSウイルスに感染したと思ったら?

RSウイルス感染症が疑われる場合は診察の結果、検査が必要と判断した方には迅速検査によって診断を行います。15分程度で診断が可能です。

生後1~2か月の赤ちゃんは免疫が不十分のため症状が重症化しやすく、無呼吸発作などの危険性があると言われています。診察の結果、入院し経過観察が必要であると判断した場合は連携病院を紹介いたします。

●RSウイルスの治療

RSウイルスに特効薬はありません。出ている症状がせきなら咳止めの処方など、症状に合わせた治療(対症療法)が主になります。

●RSウイルスの予防

RSウイルスは感染力が非常に強いウイルスであり、保育園や幼稚園でも集団感染することがよくあります。そのためRSウイルスの予防のポイントをお伝えします。

予防のポイント

・手洗い、うがいはこまめにする

・風邪の症状が出ている人を新生児、乳幼児に近づけない

・タバコの煙から遠ざける

感染したかなと思った場合や、気になる症状があれば当院やお近くの小児科までお気軽にご相談下さい。

今月も見ていただきありがとうございました。