子どもの長引く頑固な咳
現在、夏風邪が流行し、咳の症状でお悩みのお子さんが増えています。
そこで、今回は咳(せき)について解説したいと思います。
咳は、空気の通り道である気道の分泌物や異物を排除し、気道の閉塞や感染を予防しようとする防御反応の一つです。ただし、咳といっても色々な種類があり、咳の音や発熱や痰の有無、咳がひどくなる時間帯、他の症状を伴っているかなどによって、咳の原因を判断します。
代表的な子どもの咳の症状
・「コンコン」という乾いた咳
・「ゴホンゴホン」という痰がからんだような咳
・「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音がする咳
・「ケンケン」と犬が吠えるような咳
・咳で顔が赤くなる
・苦しそうな咳をする
・1週間以上、咳が続いている
上記のような咳の原因として、風邪以外に咳喘息(せきぜんそく)や気管支喘息(かんしぜんそく)、副鼻腔炎、その他呼吸器感染症などが考えられますので、長引く場合は受診することをお勧めします。
咳の症状を引き起こす代表的な疾患
特に小さなお子さんは、ちょっとした刺激で咳を誘発することがとても多いです。
<風邪>
風邪にかかると症状にもよりますが、10日~14日ほど咳が続くことが多いです。一般的には、数日間のウイルスの潜伏期間を経て、まず鼻の症状が現れ、そのあと咳が出ること多いです。そして、その後、徐々に症状が回復していきます。特に、保育園に通い始めた乳幼児はウイルス感染を繰り返し、結果的に咳や鼻の症状が1ヶ月以上続くこともあります。
<クループ症候群>
生後6か月ごろから3歳くらいまでのお子さんがとくにかかりやすい病気です。ケンケンという犬の鳴き声のような咳をするのが特徴で、症状が重くなるとオットセイの鳴き声のような咳が出ます。呼吸困難を起こすこともあるため、早めの受診が必要です。
<後鼻漏(こうびろう)>
鼻水が口のほうではなく、のどへ流れてしまうことを後鼻漏と言います。後鼻漏により痰がからむようなゴホンゴホンという咳ができます。後鼻漏がある場合は、鼻水の吸引で症状を軽減することができます。
<気管支炎・肺炎>
主にウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症です。小さなお子さんは大人と違い、気管支が狭く、気管支に炎症が起こることで咳が出やすくなります。
<気管支喘息>
ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音を引き起こします。この呼吸音のことを喘鳴(ぜんめい)と言います。風邪が治った後でも咳だけが残り、特に夜間に症状が出やすいのが特徴です。
<百日咳>
百日咳菌の感染によって引き起こされる呼吸器系の感染症です。2~4週間程度、息継ぎもできないほど激しい咳き込みを生じます。咳がひどくて夜眠れないこともあります。定期予防接種の4種混合ワクチンで予防することも可能ですが、4~6歳ころには抗体が低下し百日咳にかかりやすくなっています。2018年に改定された日本小児科学会の予防接種スケジュールでは、5~6歳で3種混合ワクチンを任意で接種することを推奨しています。(※任意接種のため、費用が発生します。)
このような場合は受診をおすすめします
咳は体に入った異物を体の外へ排出する役割に担っています。そのため、なんでもかんでも咳を止めればよいというわけではありません。市販薬が悪いわけではありませんが、病状に合ったお薬でないと、かえって病気を悪化させてしまう恐れもあります。
お子さんが元気で食事もしっかりととれている場合は、様子を見てもかまいません。ただ、風邪が治ったにも関わらず2週間以上、咳だけが続く場合は、他の病気が隠れている可能性もありますので、一度受診するようにしましょう。