台風シーズンに喘息(ぜんそく)の症状が悪化する方が増えています
これから秋を迎えるにあたり、台風の到来が増えてきます。台風シーズンになると、毎年喘息の症状が悪化する方が増えてきます。ところで、余談ですが、なぜ9月は台風が多くなるのか?ご存じですか?
もともと、台風は太平洋上の高気圧のへりに沿った形で北上するルートを通ります。夏場はこの太平洋高気圧の勢力が強いため、台風は大陸側を通りますが、秋になり太平洋高気圧の勢力が弱まることで、太平洋高気圧のへりがちょうど日本列島付近となり、上陸しやすくなってしまいます。
台風が近づくことによる気温の変化や気圧の低下などが喘息悪化の原因になっていると考えられています。そのため、秋は普段に比べて喘息の患者さんが2倍以上に増加するとも言われています。
そこで、今回は喘息について解説したいと思います。
なぜ喘息が起こるのか
一般的に、喘息とは風邪や激しい運動、気温や気圧の変化、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)などの刺激が原因で起こります。これらの刺激が気道(のどにある空気の通り道)に炎症を引き起こし、気道を狭くします。結果、空気の通る量が減少し、息苦しさを感じるようになるのです。
先ほどの気圧低下のお話に限らず、「スポーツの秋」というように、秋は過ごしやすく運動を始めるのに適している季節と言われていますが、喘息発作を持っていらっしゃるお子さまの場合、運動喘息(運動に伴って発作が誘発されるもの)にも注意なさってください。
喘息を予防する環境づくりが重要
では、喘息を起こしにくくするにはどうすればよいのか?以下に喘息を発生させる原因と対策についてまとめました。
■ダニやホコリ、ペットの毛などのハウスダストへの対策
・エアコンやフィルターのこまめな掃除
・じゅうたんはできるだけ使用せず、フローリングにする
・家具を減らし、ホコリが溜まりにくくする
・ぬいぐるみを置くなら洗濯可能なものを少数にする
・植物を室内に置かない(ダニの巣になる可能性があります)
■受動喫煙を防止
・お子さんの近くではタバコを吸わない、そもそも室内で喫煙をしないなど、副流煙に気をつける
■運動による喘息への対策
・運動前の準備運動を実施(5~10分程度の準備運動により、運動中の喘息症状が起こりにくくなります)
■気圧の変化や寒暖差への対応
・クーラーの風を直接吸い込まないように気を付ける
・寒暖差のある部屋に移動したときはゆっくりと呼吸をする など
気圧の変化や寒暖差への対応は簡単ではありませんが、喘息のお子さんにとってはわずかな気温差も刺激となり、発作の頻度が増えたり、症状が重くなったりします。
このような場合は受診をおすすめします
秋はどうしても喘息が発症しやすい時期ですので、先ほどお話ししたような予防を行っても喘息を発症してしまうことがあります。
・息を吸うときにのどや肋骨の間がはっきりとへこむ。
・息をするときにゼーゼー・ヒューヒューという音がする
・夜眠れないほど息苦しそうにしている
もしもこのような症状が現れた時は、一度近くの病院を受診するようにしましょう。