気管支喘息(きかんしぜんそく)
気管支喘息とは、空気の通り道となる気管支が狭くなってしまい、呼吸が苦しくなる状態(発作)を起こす病気です。現代では室内で過ごす時間が増え、家の中のダニやホコリなどのアレルゲンと接する機会が増えることにより、気管支喘息を発症するお子さんが増えていると言われています。気管支喘息は2〜3 歳くらいで発症することが多く、小学校へ入学する頃までには、なんらかの喘息症状を経験することが多くなっています。喘息と聞くと、一生涯、喘息の症状に悩まされるという悪いイメージがどうしてもついてまわりましたが、近年では、さまざまな喘息のお薬の開発が進み、症状が軽症のうちからしっかりと喘息の症状をコントロールすることで、成⻑とともに症状が軽快することも珍しくありません。
気管支喘息は慢性的に炎症が起こる気管支の病気です。慢性的に炎症ってちょっと難しいですよね。少し簡単にいうと、気管支喘息とは、気管支にアトピー性皮膚炎のような湿疹ができており、簡単な刺激に対して過敏に反応し、気管支の周囲に巻き付いている筋肉が締まって気管支が細くなって呼吸が苦しくなります。独特なゼェーゼェー、ヒューヒューという音が聞かれることもあります。
気管支喘息患者は残念ながら死亡してしまうことのある病気ですが、吸入ステロイドの登場で、日本においては小児喘息となる子がほとんどいなくなりました。
気管支喘息は、ステロイド吸入をはじめとした適切な予防治療により改善しますので、病院に受診し、治療を継続することをお勧めします。
症状
- 風邪の症状は治っているけど、ゼーゼー、コンコンという咳が出る
- ゼーゼー・ヒューヒューと肩を上下させ、呼吸が苦しそうである
- 咳がひどくて、夜眠れない
- 季節の変わり目や寒暖の差で症状が現れる
- 激しく運動したり、遊びすぎたりして症状が現れる
軽い場合は喉が詰まる感じがあり、ゼーゼー、コンコンという咳がでて、風邪が治っているのみ咳が長引きます。
さらに気管支が細くなると、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)がおこり、呼吸が苦しくなり、肩を上下させるようになります。
呼吸困難がひどくなると、横になることができず、前かがみに座って呼吸しなければならないほどになり、呼吸困難がしばらく続いたあと、乾いた咳や粘り気のある痰が出ます。
気管支喘息は、気管支が収縮して細くなり、息を吐きにくくなることによる呼吸困難が主な症状です。初めはのどがつまる感じがあり、咳と痰も出てきます。やがて気管支が細くなると、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)がおこり、呼吸が苦しくなります。
呼吸困難がひどくなると、横になることができず、前かがみに座って呼吸しなければならないほどになり、呼吸困難がしばらく続いたあと、乾いた咳や粘り気のある痰が出ます。
発作の程度によって、小発作(ゼーゼーという喘鳴はあるが、ふつうに食事や睡眠はとれる)、中発作(呼吸困難があり、食事や睡眠に支障がでる)、大発作(ひどい呼吸困難があり、食事や睡眠がとれない)に分けることもあります。また、発作の程度と頻度で、重症度を表すこともあります。
気管支喘息を起こす原因物質
気管支喘息の症状を悪化させる原因には以下のものが挙げられます。
- 風邪
- ダニ
- カビ
- ペットの毛やフン
- 激しい運動
- 天候(寒暖差など)
- 大気汚染
- タバコ(受動喫煙)
- ストレス など
治療法
気管支喘息の治療で大事なことは、まずは環境を整備することです。
気管支喘息の原因になりやすい、ハウスダストやダニ、ペットの毛やフンなどをなるべく減らしていただきます。
また、症状をコントロールするためにお薬による治療も行います。
お薬には喘息の症状を予防する「コントローラー」というお薬と症状を止めるお薬「レリーバー」というお薬を組み合わせながら治療を行います。
何回も気管支喘息の発作を起こすようなお子さんは、発作を起こさないように予防する「コントローラー」を服用しながら、発作をなくしていくことが必要となります。また、既に発作が起きている状態だと、まずは気管支を広げて楽にしてあげる必要があります。このような発作が起きているときには、「レリーバー」を使用いたします。ただし、これだけでは、気管支喘息は治らないため、うまく「コントローラー」を組み合わせながら治療を行っていきます。お薬には、飲み薬や吸入タイプ、貼り薬などさまざまなタイプがありますので、お子さんの日常生活やご希望に合わせながら処方いたします。
また、体を鍛えることも喘息治療においてはとても有効です。発作が起きていないときは、外で体を動かすことも取り入れてみましょう。一般的には、水泳が喘息発作を誘発することが少ないためおすすめとされています。
ご家庭で注意すること
- ダニ、花粉、カビなどのアレルギー対策
最も多いアレルゲンは室内のほこりで、ダニが含まれています。ダニは6月から9月の間に多く、高温多湿を好みますので、特に注意が必要です。室内でペットは飼わないようにしましょう。部屋の風通しをよくして、湿気をためないようにしましょう。じゅうたんや毛布などは、できるだけ使わないようにしましょう。花粉の時期は、外出する時マスクをしましょう。ふとんにも掃除機をかけましょう。室内に植木鉢をおいたり、洗濯物の室内干しはカビが増殖するので控えましょう。 - 風邪などのウイルス感染の防止
風邪などのウイルスに感染すると、気管支喘息の発作が起こりやすくなります。咳だけが1週間以上続く場合は、気管支喘息による気道の炎症が原因の可能性があります。外から帰ってきた時は、うがいをして風邪の予防をしましょう。 - 運動誘発性気管支喘息の防止
運動誘発性気管支喘息という、運動したり、走ったりすると発作が起こる喘息があります。しかし、気管支喘息の患者さんが運動をしてはいけないということではなく、適切な治療を行えば、運動しても発作は起こりにくくなります。気管支喘息の患者さんの中にはスポーツ選手で活躍している人もたくさんいます。 - アスピリン気管支喘息の防止
気管支喘息の患者さんの約10%が、鎮痛解熱剤を使うと発作を起こすアスピリン気管支喘息と呼ばれています。アスピリンだけではなく、他の薬でも発作が起こることもあるため、注意が必要です。 - 禁煙
たばこや、蚊取り線香などの煙も、気管支を刺激します。 - 精神的なストレスの解消
気管支喘息は、ストレスなどの心理的な要素も関係していることがあります。ふだんからストレスをためないように、生活のリズムを整えることも必要です。
気管支喘息の症状の原因となる物質になるべく触れないことが大切です。小児の気管支喘息の原因で一番多いのは室内のホコリ・ハウスダストです。まずは、これらの原因物質を極力少なくするよう努力しましょう。
小児の気管支喘息は大半が治ります
小児喘息、特に小さなお子さんの場合は、適切な治療を根気よく続ければ、大抵は治ることが多いです。しかし、症状が良くなったからといって、お薬の服用を中止してしまったり、指示通りにお薬を服用しなかったりすると、気管支喘息が治らないだけでなく、副作用が出てしまうこともあります。喘息の治療は根気がいり、保護者の方も大変ですが、きちんと指示通りに服用しましょう。