アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症とは

アデノウイルスは80種類以上の型に分類され、呼吸器、目、消化管などに感染し、呼吸器感染症や咽頭結膜熱（プール熱）、流行性角結膜炎（はやり目）、胃腸炎などを引き起こします。
ほとんどの人が5歳くらいまでに初感染を経験します。多くの型があるため、何回も感染する可能性があります。

感染経路

• 飛沫感染：アデノウイルスにかかった人の咳やくしゃみ、つばなどに含まれるウイルスを吸い込んだり、目に入ることによって感染します。
• 接触感染：アデノウイルスが付着した手やタオルが、口や鼻や目に触れることにより感染します。便中のアデノウイルスが手などを介して口に入ることにより感染する糞口感染もありえます。

診断

検査による診断は、アデノウイルス迅速診断キットを用いた抗原検査（症状に応じて咽頭ぬぐい液、結膜ぬぐい液、便から採取）により行います。
周囲の流行状況と症状から、臨床診断することもあります。

治療

特別な治療法はなく、ウイルス感染のため抗菌薬は効果がありません。症状を和らげる対症療法（解熱鎮痛薬など）が基本の治療となります。
呼吸器感染症や咽頭結膜熱で、のどの痛みが強く食事がとりづらい時には、のどごしの良いものを食べ、十分な水分補給を行いましょう。
胃腸炎で食事をとれない時には、脱水にならないように水分補給（アクアライトなど）を心がけましょう。
ほとんどの場合は軽症で自然に回復しますが、まれに重症化し入院治療が必要となる場合があります。

感染予防

• 手洗い：流水と石けんによる十分な手洗い
• タオルの共有を避ける
• せきエチケット（咳をする時は口と鼻をカバーする、マスクをするなど）
• アルコール系の消毒薬は効果が乏しいです

呼吸器感染症

3～5日の潜伏期間の後、発熱（3～5日程度）、鼻汁、咳、のどの痛みなどの風邪様の症状で発症します。扁桃の腫れや首のリンパ節の腫れを伴うこともあります。
乳幼児、学童など子どもの発症が多いです。
中には気管支炎や肺炎に至る場合もあり、肺炎が重症化した際には入院治療が必要になることもあります。
まれに脳炎を合併することがあるため、意識がおかしい、けいれんがある場合には医療機関を受診しましょう。
登校・登園は、熱がさがってから24時間以上経過していること、食事や睡眠が十分にとれていること、本人の状態が改善していることを確認し、判断しましょう。

咽頭結膜熱（プール熱）

5～7日程度の潜伏期間の後、発熱（4～5日間ほど）・咽頭炎(のどの痛み・発赤など)・結膜炎(目の充血、めやになど)を主症状として発症します。目の症状は片側から出現し、その後反対側にも広がることが多いです。首のリンパ節の腫れや腹痛、下痢などが生じることもあります。
夏季にプールを介した流行があることから「プール熱」ともよばれますが、プール以外でも感染することはあります。
1歳前後の子どもの発症が多いです。
発熱などの主要症状が消失した後２日を経過するまでは、登園・登校禁止です。

流行性角結膜炎（はやり目）

8～14日程度の潜伏期間の後、目の充血、目やに、目の腫れなどの結膜炎症状で発症します。
症状は片眼から始まり、数日で両眼になります。基本的には高熱は出ません。
発症後5～8日ごろが症状のピークです。
どの年齢でも起こる病気で、非常に強い伝染力があります。
医師により伝染の恐れがないと認められるまでは、登園・登校禁止です。

胃腸炎

3～10日の潜伏期間の後、下痢（水様性で8～12日間くらい）、嘔吐、嘔気、微熱、腹痛の症状で発症します。
乳幼児期に多く、３歳未満で発症しやすいです。
腸重積（腸の一部が隣り合う腸に入り込み、腸がふさがってしまう病気）を合併することがあるため、異様な不機嫌や頻回の嘔吐、血便がみられる場合には、早めに小児科を受診しましょう。
登校・登園は、熱がさがってから24時間以上経過していること、食事や睡眠が十分にとれていること、本人の状態が改善していることを確認し、判断しましょう。